水原一平受刑者「ドラマ化決定」の裏で…制作陣が頭を抱える「大谷翔平の実名」どうする問題<

 世界を震撼させた裏切り劇が、まさかのエンターテインメントとして消費されようとしている。

 12月、米メディアは、ドジャース・大谷翔平の元通訳で、銀行詐欺などの罪で服役中の水原一平受刑者を題材にしたテレビドラマシリーズが、米ケーブル局「Starz」で正式に開発されると報じた。

 制作を手掛けるのは大手スタジオのライオンズゲート・テレビジョン。さらに、監督には『ワイルド・スピード』シリーズのジャスティン・リン、脚本には映画『AIR/エア』のアレックス・コンヴェリーといった超一流のヒットメーカーが名を連ねている。

 この「無駄に豪華すぎる布陣」に、ネット上では「仕事が早すぎる」「誰が水原を演じるんだ」と困惑の声が広がっているが、業界内ではもっとシビアな「ある懸念」が囁かれているという。

ディズニーやアップルが「逃げ出した」理由

 在米エンタメジャーナリストが内情を明かす。

「実はこの企画、当初はディズニーやアップル、Netflixといった大手配信プラットフォームに持ち込まれたのですが、ことごとく断られたという経緯があります。理由はシンプルで、『大谷翔平とMLBを敵に回したくないから』です。現在、MLBの放映権ビジネスはこれら巨大テック企業にとってドル箱であり、特に大谷はアンタッチャブルな存在。水原受刑者を主役にしたドラマを作れば、どうしても大谷のプライベートや、事件に巻き込まれた経緯を描かざるを得ない。それが大谷サイドの心証を害し、ビジネスに悪影響が出ることを恐れたのです。結果として、しがらみの少ないライオンズゲート傘下のケーブル局が引き受ける形になりました」

 制作決定となれば、次に浮上するのが「大谷翔平の実名」をどう扱うかという問題。

 米国では「表現の自由(修正第1条)」が強く、公人である著名人を題材にした「無許可の伝記ドラマ(アンオソライズド・バイオグラフィー)」は珍しくない。Facebook創業者を描いた『ソーシャル・ネットワーク』のように、本人の許可なく実名で描くことは法的には可能だ。

「ショーヘイ」を出せば訴訟リスクも…

 前出のジャーナリストが続ける。

「法的にOKでも、ビジネス的には極めてリスキーです。もしドラマ内で大谷を『ギャンブルに無頓着な人物』として描いたり、少しでも事実に反する描写があれば、名誉毀損で訴えられる可能性がある。かといって、仮名にしてしまえばリアリティが失われ、視聴者の関心は薄れるでしょう。制作陣は現在、大谷を『画面には映らない絶対的な存在』として扱うか、あるいは開き直って実名で登場させるか、ギリギリの調整を迫られています。ただ、『AIR』の脚本家を起用した点から見て、スキャンダルそのものより、二人の関係性の崩壊に焦点を当てた重厚な人間ドラマにするつもりでしょうから、大谷の登場は避けられないはずです」

 かつて「スポーツ界の頂点を見たい」と語っていた水原受刑者。
 その夢は、皮肉にも「犯罪ドラマの主役」という最悪の形で叶うことになってしまった。

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