社民党が「完全消滅」の危機!新垣邦男氏の離党届けに“異常反応”の理由
社民党

社民党の副党首であり、党内で唯一の衆議院議員だった新垣邦男が突如離党を表明したことで、同党内が騒然となっている。

しかも社民党は「離党は無効」とする談話を発表し、所属議員本人との真っ向対立という異例の事態に発展しているのだ。

政党要件ギリギリで存続してきた社民党にとって、今回の離党騒動は「党の存続に直結する問題」。政治的には“わずか1議席”の動きに見えながら、実態は“党の命綱”が切れるかどうかという瀬戸際である。

10月31日、新垣氏は「党勢拡大が進まなかった」「これ以上1人で戦えない」として離党を表明。これを受けて11月4日、党側は離党届を拒否すると発表。新垣氏は郵送で離党届けを提出するという強硬手段に出た。

「離党届は無効」 社民党の強硬声明

社民党が2日付で発表した幹事長談話には、異例ともいえる強い文言が並んだ。

「離党届は規約に基づいた手続きを踏んでおらず無効である」

「党首が衆院選に出馬しないから離党というのは飛躍であり理解できない」

離党理由の正当性まで否定する強いトーンに、党内の動揺がにじむ。

今回の離党は、単なる内部対立では済まされない。新垣氏が抜ければ社民党は衆議院の議席を喪失し、「衆院に議員ゼロ」という事態を迎える。つまり、かつて55年体制の一角を担った“社民党の消滅”が、現実味を帯びてくる。

「鞍替え問題」「党勢拡大の失敗」

新垣氏は会見でこう語っている。

「福島党首に衆院への鞍替えを提案したが、受け入れられなかった」
「1人では党勢拡大は難しい。4人5人いれば状況は違った」

実際、現在の社民党は参院比例で2%ぎりぎりの水準。ラサール石井の当選が「奇跡」と語られるほど、党勢は縮小している。

政治部記者はこう語る。

「新垣氏は“このままでは沈む”と感じていた。党は“生き残るための議席確保”に徹したが、新垣氏は“増やすための戦略”を求めた。両者に温度差があった」

「さらに、福島党首が衆院に出ない以上、党の象徴が参院に残り続ける構図は変わらない。新垣氏の言う“風を起こせない党”という苛立ちは、決して的外れではない」

“無効宣言”の裏にある社民党の恐怖

今回の離党に社民党が異常な反応を見せたのには理由がある。

・新垣氏が抜ける=衆院議席ゼロ
・衆院議席ゼロ=政党要件後退
・国会での存在感消失 → 資金難、報道露出減、支持率低下の連鎖

つまり「1人抜けるだけ」で党が一気に解体過程へ進みかねないのだ。

党関係者は本音を隠さない。

「今の社民党は“参院2%”でやっと生きている状態。議席を守るのが精一杯で、攻めの戦略を考える余裕はありません。鞍替え論もスローガンにすぎず、実行すれば党首が議席を失うリスクがある。誰も言い出せないまま時間だけが過ぎてしまった」

つまり、離党届が無効かどうかは「手続きの問題」ではなく、「生存の問題」なのである。

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新垣邦男は“離党確定”なのか?

新垣氏は「すでに無所属で活動する」と明言しており、党側がどれだけ“無効”を主張しようと、実態としては離党済みともいえる。

しかし一方で、離党届を認めるか拒否するかは「政党の延命装置」として機能している。
離党無効=議席はまだ社民党のもの → 党は“ゼロ議席”を回避した形が保てる。

前出の政治部記者はこうまとめる。

「今回の騒動は“手続き論争”に見えて、実態は“消滅の瀬戸際にある小政党のサバイバル劇”。新垣氏は『ここで攻めなければ生き残れない』と考え、党は『現状維持でしか生きられない』と考えた。両者は同じ危機を見つめながら、真逆の方向に走り出したといえます」

今後、社民党は常任幹事会と党首会見で対応を協議するが、「離党無効」の主張をいつまで続けられるかは不透明だ。
そして新垣は新たな政治活動を始めるが、そこに支援組織も看板もない現実が待っている。

消滅寸前の政党と、そこから離れる覚悟を決めた男。どちらが先に力尽きるのか。もう後戻りはできない。

(松尾晶)

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