サッカー・イタリア代表「イランの代わりにW杯出場プラン」急浮上にサッカーファンが大ブーイングの理由
出典:FIFA

まさかの“棚ぼた出場案”に世界がザワついた

6月に開幕するサッカーW杯北中米大会を前に、まさかの仰天プランが浮上した。すでに本大会出場を決めているイラン代表に代わり、3大会連続で出場を逃したイタリア代表を出場させる案が取り沙汰されたのだ。

発端となったのは、トランプ米大統領の特使とされるパオロ・ザンポリ氏の発言だった。ザンポリ氏は、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長とトランプ氏に対し、現在アメリカと戦争中であるイランの代替としてイタリアを出場させる案を提案したと認めたという。4度のW杯優勝を誇るアッズーリを、アメリカ開催の大会で見たいという思惑もあったようだ。

イタリア国内からも「屈辱だ」の声

だが、この“救済案”に喜びの声は広がらなかった。むしろサッカーファンからは「予選で敗退した国が政治的に出場するのはおかしい」「イタリアほどの国がそんな形で出るべきではない」「イランの選手に何の罪があるのか」といったブーイングが噴出している。

イタリア側の反応も冷ややかだ。イタリアのスポーツ大臣アンドレア・アボディ氏は、ピッチ上の結果で勝ち取ってこその予選突破だとして、この案に否定的な見解を示した。さらにイタリアオリンピック委員会の関係者からも、実現すれば屈辱だとの趣旨の発言が出ており、当のイタリア国内でも“歓迎ムード”とはほど遠い。

サッカージャーナリストが見る“禁じ手”の危うさ

サッカージャーナリストは、今回の騒動についてこう語る。

「イタリアはサッカー界における超大国です。だからこそ、今回のような形で名前が出ること自体が逆にダメージになる。W杯は政治ショーではなく、予選を勝ち抜いた国が立つ場所です。仮に安全保障上の問題でイランの出場が難しくなる事態があったとしても、その代替国を欧州の人気国から選ぶという発想は、あまりに乱暴です。サッカーファンが怒るのは当然でしょう」

実際、米国のマルコ・ルビオ国務長官は、米政府がイラン代表の出場そのものを拒んでいるわけではないと説明している。一方で、イラン革命防衛隊との関係がある人物の入国は認めない可能性があるとも述べており、選手団の扱いをめぐる火種は残っている。

アッズーリの名誉を傷つけた“政治的アシスト”

イタリア代表は近年、W杯予選で苦しみ続けている。名門国でありながら、3大会連続で本大会出場を逃した現実は重い。それでも、世界中のファンが求めているのは、政治的な“特別枠”ではなく、ピッチ上での復活劇だ。

前出のサッカージャーナリストは続ける。

「もしイタリアが本当にW杯に戻るなら、欧州予選を勝ち抜いて戻るべきです。そのほうが何倍もドラマになる。今回の話は、イタリアにとってもイランにとっても、そしてW杯そのものにとっても得をしない。アッズーリのブランドを利用した政治的アピールに見えてしまいます」

世界最高峰の舞台だからこそ、出場権の重みは軽く扱えない。今回の“イランの代わりにイタリア”騒動は、サッカーファンに改めてその原則を思い出させる一件となった。

(中村シュン)

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