福岡の街角でスカウトされた少女が、今や民放ゴールデン帯ドラマの主演を射止めるまでに上り詰めた。その名は奈緒。父が遺した「たくさんの人に愛されるように」という願いを胸に、彼女は静かだが確かな歩みを続けてきた。かつて「本田なお」と名乗り、幾度ものオーディション落選を経験した日々は、今の彼女の深みを形成したに違いない。2018年の朝ドラ『半分、青い。』での存在感ある演技が転機となり、2019年には『あなたの番です』で一気に知名度を上げた。その実力は、助演女優賞を受賞して証明されたと言えるだろう。そして2022年、ついに『ファーストペンギン!』で民放ゴールデン・プライム帯の主演の座を掴む。彼女の武器は、157cmの小柄な体から放たれる圧倒的な存在感と、役に溶け込む変幻自在の演技力だ。特技の手話や乗馬、韓国語といった多彩なスキルも、役作りに活かされているに違いない。幼少期に父を亡くしたという背景が、彼女の演技に独特の切なさと強さを与えているのかもしれない。憧れは女優・田中裕子。自らも「愛や優しい人柄がにじみ出るような女優になりたい」と語る奈緒の目指す先は、まだまだ果てしなく広がっている。
基本プロフィール
| フリガナ | なお |
|---|---|
| 生年月日 | 1995年2月10日 |
| 出身地 | 福岡県福岡市 |
| 身長 | 157cm |
| 血液型 | A型 |
| 所属事務所 | アービング |
| ジャンル | 女優、タレント |
生い立ち・デビューまでの経緯
福岡の街角でスカウトされた時、彼女はまだ高校生だった。地元のテレビ番組で顔を知られるようになるが、その先に待つ大きな舞台への渇望は抑えきれない。20歳、彼女はすべてを賭けて単身上京を決断する。
「本田なお」という芸名で歩み始めた頃は、小さな役をこなす日々が続いた。しかし、2018年の朝ドラ『半分、青い。』での木田原菜生役が転機となる。ヒロインの座は逃したものの、親友役で見せた自然体の演技が観る者の心を捉えたのだ。
そのわずか1年後、彼女は『のの湯』で連続ドラマ初主演を果たす。同じ年の『あなたの番です』では、複雑な内心をたたえた黒島沙和を演じ、ドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞。奈緒という本名に戻したことが、彼女の演技に新たな深みをもたらしたのかもしれない。
モデルとしての顔を持ちながら、役者としての地盤を固めていった稀有な経歴。福岡から東京へ、そして全国へ――その歩みはまさに「奈緒」という名が込めた「多くの人に愛されるように」という父の願いを体現するものだった。
ブレイクのきっかけ・代表作
福岡の街角でスカウトされた時、この少女がやがて日本を代表する実力派女優の一人となるとは、誰も予想しなかっただろう。奈緒のブレイクの契機は、2018年放送のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』での木田原菜生(なお)役である。ヒロインのオーディションでは最終審査で涙を飲んだが、その直後に「親友役」のオーディションへと回され、見事に役を射止めた。この「菜生」役で、彼女はその独特の透明感と芯の強さを併せ持つ演技力を見せつけ、一気に知名度を押し上げたのである。
その後、2019年に放送されたサスペンスドラマ『あなたの番です』での黒島沙和役は、彼女のキャリアを決定づけた。一見すると清楚で可憐な大学生ながら、物語の核心に深く関わる不可解な魅力を演じ切り、視聴者に強烈な印象を残した。この演技が高く評価され、ドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞。ここから、奈緒は「怪しくも美しい」役柄をこなす特異な存在として、業界と観客の注目を集め始める。
彼女の代表作は、この『あなたの番です』に加え、初の連続ドラマ主演作となった『のの湯』、そして地上波ゴールデン帯初主演となった『ファーストペンギン!』が挙げられる。特に『ファーストペンギン!』では、漁業という過酷な世界に飛び込む新米官僚を熱演し、これまでの“不思議ちゃん”イメージを打ち破る力強い演技を見せた。銀幕では、初主演映画『ハルカの陶』で陶芸家の苦悩と情熱を静謐に、そして『マイ・ブロークン・マリコ』では破天荒な親友役を怪演するなど、その役幅の広さを証明している。
奈緒の魅力は、どこか浮世離れしたような透明感と、その内側に確かに存在する熱い意志の対比にある。幼少期に父を亡くし、単身上京という決断を経てきたからこそか、その演技にはどこか「生きる切実さ」が滲む。尊敬する女優として挙げる田中裕子のように、「役柄を通じて本人の優しさがにじみ出る」女優へ。彼女の歩みは、まさにその言葉通りに進んでいるのだ。
出演作品
| 公開・放送開始年 | 作品名 |
|---|---|
| 2026 | 死ねばいいのに |
| 2025 | あしたのありか |
| 2025 | 塀の中の美容室 |
| 2025 | 東京サラダボウル |
| 2024 | あのクズを殴ってやりたいんだ |
| 2024 | 傲慢と善良 |
| 2024 | 先生の白い嘘 |
| 2024 | 告白 コンフェッション |
| 2024 | Medicine メディスン |
| 2024 | 陰陽師0 |
| 2024 | 春になったら |
| 2023 | スイート・マイホーム |
| 2023 | #マンホール |
| 2023 | あなたがしてくれなくても |
| 2023 | 忍者に結婚は難しい |
| 2022 | 両刃の斧 |
| 2022 | ファーストペンギン! |
| 2022 | マイ・ブロークン・マリコ |
| 2022 | TANG タング |
| 2022 | 星新一の不思議な不思議な短編ドラマ |
| 2022 | 雪国 -SNOW COUNTRY- |
| 2022 | 余命10年 |
| 2022 | にんげんこわい |
| 2022 | 可愛かった犬、あんこ |
| 2021 | あなたの番です 劇場版 |
| 2021 | 草の響き |
| 2021 | 恋です! 〜ヤンキー君と白杖ガール〜 |
| 2021 | 正義の天秤 |
| 2021 | マイ・ダディ |
| 2021 | 君は永遠にそいつらより若い |
人物エピソード・逸話
彼女の名前に込められたのは、亡き父の「たくさんの人に愛されるように」という願いだった。奈緒はその期待に、静かなる強さで応え続けている。
福岡の路上でスカウトされ、地元番組で人気を博した彼女が、20歳で単身上京を決断した背景には、ある大物俳優の後押しがあった。まだ無名だった頃、撮影現場で永山瑛太に上京の悩みを打ち明けると、彼は真剣に耳を傾け、具体的な助言をくれたという。その言葉が、役者として生きる覚悟を固めるきっかけとなった。
2018年、NHK朝ドラ『半分、青い。』でヒロインの親友・木田原菜生役を好演。ヒロイン役のオーディションでは最終選考まで残りながら落選するも、その後呼ばれた別役で見事にチャンスを掴んだ。この粘り強さが、その後の飛躍の礎となる。2019年には『あなたの番です』での危険な魅力を放つ黒島沙和役で第102回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞、一気に知名度を上げた。
意外なのは、その多彩な趣味の数々だ。手話に乗馬、着付けに韓国語。さらにはバーレスクダンスやプロレス観戦、ウクレレに至るまで、その興味の幅は驚くほど広い。幼少期は漫画家志望で、今もInstagramでイラストを公開する腕前。酒豪としても知られ、日本酒愛好家でありながら、酒場詩人・吉田類の大ファンという一面も持つ。
そして2022年、彼女のもう一つの顔が明らかになる。大ファンである吉田拓郎のラストアルバム『ah-面白かった』のジャケットモデルに抜擢されたのだ。母親も拓郎ファンという家庭環境が、彼女の音楽的感性を育んだのかもしれない。これをきっかけに音楽番組に出演し、初めてテレビで歌声を披露したエピソードは、彼女の新たな可能性を感じさせた。
地元・福岡への愛着も強く、友人である小松菜奈と地元グルメを堪能する姿がテレビで紹介されたことも。豚足好きを共にするなど、飾らない人柄が魅力だ。
「役者本人の愛や優しい人柄がにじみ出るような女優になりたい」。憧れは田中裕子だという。父が願った「愛される存在」へ、奈緒は確かな歩みを進めている。