「尻字」でオーディションを突破した女優がいた。上野樹里である。17歳で映画『ジョゼと虎と魚たち』のベッドシーンをこなし、岸谷五朗がその才能に惚れ込み、事務所ごと引き抜いた異色の経歴の持ち主だ。彼女の芸能界での歩みは、常識破りのエピソードに彩られている。
基本プロフィール
| フリガナ | うえの じゅり |
|---|---|
| 生年月日 | 1986年5月25日 |
| 出身地 | 兵庫県加古川市 |
| 身長 | 167cm |
| 血液型 | A型 |
| 所属事務所 | 個人事務所(Don-crewと業務提携) |
| ジャンル | 女優 |
生い立ち・デビューまでの経緯
彼女の才能は、偶然の出会いとある言葉から芽吹いた。中学時代に母親を亡くした上野樹里が女優を目指したきっかけは、母の「芝居もできたらええのになあ」という何気ない一言だった。その言葉を胸に、兵庫の少女は東京へと飛び出す。
デビューまでの道のりは決して平坦ではなかった。小さな事務所に所属していた彼女は、オーディションで自らの居場所を切り拓いていく。『てるてる家族』の最終審査では、特技がないと言われ「尻字」を披露するという型破りな行動に出る。審査員の前で「自分を捨てた」というその覚悟が、彼女のキャリアを決定づけたのだ。
そして17歳の時、『ジョゼと虎と魚たち』で22歳の大学生を演じ、ベッドシーンにも挑戦する。早熟な才能は周囲を驚かせ、共演者からは「天才」と評されるようになる。岸谷五朗はその才能を見逃さず、自らの所属する大手事務所への移籍を勧めるが、上野は「育ててくれた事務所を裏切れない」と拒否。結果、事務所ごと吸収合併という異例の措置が取られることになる。彼女の芯の強さと、周囲を動かす魅力がここにも表れている。
音楽一家に育ち、ピアノやサックスを演奏し、作詞作曲もこなす。陸上部のエースとしても活躍したスポーツウーマンでもある。多様な顔を持つ彼女の根底には、「早く丸くなる必要はない」という信念が流れている。型にはまらない生き方が、やがて数々の個性的な役柄を生み出していくのだ。
ブレイクのきっかけ・代表作
「お尻で文字を書く」と言い放ったオーディション。それが上野樹里の女優人生を決定づけた瞬間だった。NHK連続テレビ小説『てるてる家族』の最終審査で、特技がないと悟った彼女は、審査員の前で「自分を捨てた」。その大胆さと天真爛漫さが、岸谷五朗の目に留まる。彼女の才能を見抜いた岸谷は、自らの所属事務所であるアミューズへの移籍を勧めるが、上野は「育ててくれた事務所を裏切れない」と拒否。その結果、アミューズは彼女の所属事務所ごと吸収合併するという、異例の措置を取った。これが、後の大ブレイクへの第一歩となる。
彼女の転機は、2004年の映画『スウィングガールズ』だ。ジャズバンドに青春を賭ける女子高生を演じ、その圧倒的な存在感とコミカルな演技で一躍注目を浴びた。続く『ジョゼと虎と魚たち』では、車椅子の女性を17歳で見事に演じきり、その表現力の深さを証明してみせる。そして、2006年のドラマ『のだめカンタービレ』で、天才ピアニスト・野田恵を演じ、社会現象を巻き起こした。自由奔放でどこか抜けた「のだめ」は、上野樹里そのものと言える役柄だったかもしれない。彼女のピアノの腕前は本物であり、役に完全に没入する姿勢が、キャラクターに命を吹き込んだ。
しかし、彼女は「天才」と呼ばれながらも、型にはまらない。『ラスト・フレンズ』では性同一性障害を抱えたモトクロス選手を演じるため、自ら髪をベリーショートにし、役作りのために走り続けた。共演者からは「自分の役だけでなく、相手の役まで真剣に考えてくれる」と評されるほど、芝居への探究心は並々ならぬものがある。時に監督に熱く演技論をぶつけて泣き、時に共演者と森四中のように騒ぎ、その全てが「上野樹里」という稀有な女優の魅力を形作っている。早く丸くなる必要はない、という彼女の座右の銘が、そのままキャリアを体現していると言えるだろう。
出演作品
| 公開・放送開始年 | 作品名 |
|---|---|
| 2025 | ほんとにあった怖い話 夏の特別編2025 |
| 2023 | 隣人X -疑惑の彼女- |
| 2023 | 私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由- |
| 2023 | 私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由- |
| 2022 | ヒヤマケンタロウの妊娠 |
| 2022 | 持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~ |
| 2020 | テセウスの船 |
| 2019 | 監察医 朝顔 |
| 2019 | 監察医 朝顔 |
| 2018 | グッド・ドクター |
| 2016 | お父さんと伊藤さん |
| 2016 | 青空エール |
| 2016 | 家族ノカタチ |
| 2015 | このミステリーがすごい! |
| 2015 | ビューティー・インサイド |
| 2015 | ウロボロス〜この愛こそ、正義。 |
| 2014 | アリスの棘 |
| 2014 | ヨーロッパ企画の26世紀フォックス |
| 2013 | 陽だまりの彼女 |
| 2011 | 江 〜姫たちの戦国〜 |
| 2010 | のだめカンタービレ 最終楽章 後編 |
| 2010 | 素直になれなくて |
| 2010 | 我們結婚了-容徐夫婦 |
| 2009 | のだめカンタービレ 最終楽章 前編 |
| 2009 | のだめカンタービレ 最終楽章 |
| 2009 | キラー・ヴァージンロード |
| 2009 | 上野樹里と5つの鞄 |
| 2009 | 上野樹里と5つの鞄 |
| 2009 | 上野樹里と5つの鞄 |
| 2009 | 上野樹里と5つの鞄 |
人物エピソード・逸話
彼女の才能は、ある「尻字」から爆発した。上野樹里が『てるてる家族』の最終オーディションで披露した、あの衝撃のパフォーマンスである。特技がないなら作ればいい。審査員の前で「自分を捨てた」その覚悟が、型破りな女優への扉を開けたのだ。
17歳で『ジョゼと虎と魚たち』のベッドシーンをこなし、『スウィングガールズ』では日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。だが、彼女の真骨頂は受賞歴以上に、役への貪欲なまでの執着心にある。岩井俊二監督に泣きながら演技論をぶつけ、共演した三浦春馬を「軽いノリ」で質問した自分が恥ずかしくなるほど熱く語り合った。岸谷五朗が「会話が成立しない」と評するほどの独特な感性は、時に周囲を翻弄しながらも、圧倒的な説得力を持つキャラクターを生み出してきた。
音楽一家に育った彼女のもう一つの顔は、筋金入りの音楽ファンだ。11歳で初めて自ら購入したCDは、のちに夫となる和田唱が在籍するTRICERATOPSの「if」であった。ピアノとサックスを操り、作詞作曲もこなす音楽性は、『のだめカンタービレ』で野田恵を演じる際にも存分に生かされ、ドラマアカデミー賞主演女優賞をもたらした。
陸上部のエースとして走った中学時代。視力が弱くコンタクトレンズに頼る日常生活。肉より魚を好み、和食を作るのが趣味という、どこかミスマッチな素顔。天才と呼ばれながらも「早く丸くなる必要はない」という言葉を胸に、常に等身大で在り続ける。上野樹里という女優は、予測不能な軌道で、次にどんな驚きを見せてくれるのか。