12月17日、日本文学振興会が発表した第164回芥川・直木賞の候補作。
芥川賞は尾崎世界観が「母影」でノミネート
芥川賞は宇佐見りん「推し、燃ゆ」、木崎みつ子「コンジュジ」、砂川文次「小隊」、乗代雄介「旅する練習」と並び、クリープハイプのボーカル・尾崎世界観が「新潮」12月号掲載の「母影」でノミネートされた。
NEWSの加藤シゲアキは「オルタネート」で直木賞にノミネート
直木賞でも芦沢央「汚れた手をそこで拭かない」、伊与原新「八月の銀の雪」、西條奈加「心淋し川」、坂上泉「インビジブル」、長浦京「アンダードッグス」のほかNEWSの加藤シゲアキが「オルタネート」でノミネート。
芥川・直木賞ともに人気の芸能人が候補作に選出されることになった。
この発表を受け、尾崎は自身のツイッターで「芥川賞候補だ!嬉しい!」と喜びを爆発。ファンからも祝福の声が寄せられている。
「有名人枠選出」の疑念が噴出
そんななかネット上で相次ぎ指摘されているのが「有名人枠選出」の疑念だ。「単行本の売上アップ」や「出版業界の盛り上がり」を期待して有名人である尾崎、加藤が選ばれたのではないか、との憶測である。
「このような話は以前から出版業界で何度も繰り返されているんですよ」と語るのは出版関係者だ。
「過去には辻仁成、又吉直樹、セカオワSaoriも」
「とりわけ『話題性選出では』と指摘されたのが1996年下半期に『海峡の光』で芥川賞を受賞した辻仁成。2015年上半期にピースの又吉直樹が『火花』で同賞を受賞した際も、作品自体は上々の評価だったものの、一部で『有名人枠』ではとの声が上がっています。また受賞には至りませんでしたがSEKAI NO OWARIのSaoriが本名の藤崎彩織名義で発表した『ふたご』も2017年の第158回直木賞の候補作に。これにも批判的な指摘が相次ぎました」
実際のところ「有名人枠」はあるのだろうか――
「『話題性を見込んだ選出』は間違いなくある」
「当然ながら『有名人枠』なんてものは存在せず、選出されるレベルに達していない作品はノミネートされません。もっとも“本を売るための賞”ですから『話題性を見込んだ選出』は間違いなくある。そういう意味では無名の作家と比べて圧倒的に有利なことはたしかです」(同関係者)
1月20日の選考会を楽しみに待ちたい。
(大倉さとみ)