「ルンバが動きやすいように」と床を片付けるようになった男が、なぜ大麻を所付けたのか。俳優・永山絢斗の素顔は、愛らしいエピソードの裏側に、深い闇を抱えていた。兄・瑛太、竜弥と続く芸能一家の末っ子として順調なキャリアを歩んできた彼を、2023年の逮捕は一変させた。日本アカデミー賞新人賞の授賞式を、父の急死で途中退席したあの日から、彼の人生はどこで歪んだのだろうか。車と猫と時代劇を愛する、一見穏やかな青年の内面に潜む矛盾が、今、明らかになる。
基本プロフィール
| 生年月日 | 1989年3月7日 |
|---|---|
| 出身地 | 東京都板橋区 |
| 所属事務所 | パパドゥ(2007年 - 2024年8月)・フリーランス(2024年9月 - ) |
| ジャンル | 俳優 |
永山三兄弟の末弟、瑛太の背中を追う
芸能界に「永山」の名を刻んだ三兄弟の末っ子は、常に兄たちの背中を見て育った。永山絢斗が生まれた時、長兄・竜弥はすでに子役として活躍し、次兄・瑛太もその道を歩み始めていた。板橋区の焼肉店「瑛斗弥」を営む一家の中で、絢斗はごく普通の少年として過ごしていたかもしれない。しかし、彼の血には紛れもなく「表現する」という遺伝子が流れていたのだ。
2007年、18歳の絢斗はテレビドラマ『おじいさん先生』で俳優デビューを果たす。兄たちと同じ道を選んだように見えたが、彼には独自の歩み方がある。2010年、映画『ソフトボーイ』での初主演が大きな転機となった。繊細でどこか危うげな青年を演じきった彼は、日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。だが、その栄光の裏には悲劇が待ち受けていた。授賞式の途中、父親の急死の報せを受けて退席するという、俳優人生の早すぎる試練である。
芸能一家の末弟としてのプレッシャー、そして突然の喪失。この二つが、永山絢斗という俳優の芯を形作っていくことになる。彼の目には、兄たちとはまた違う孤独と覚悟が宿っていた。
『ソフトボーイ』主演と日本アカデミー賞の苦い記憶
永山絢斗の名が一気に知れ渡ったのは、2010年の映画『ソフトボーイ』での鮮烈な主演ぶりだった。繊細でどこか危うげな青年を演じ、その年の日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。しかし、授賞式の舞台は彼にとって複雑な記憶となった。受賞直後、父親の急死の報を受け、祝福の場を静かに後にしたのだ。華やかな栄光と突然の悲劇が交錯した瞬間であった。
俳優としての絢斗は、兄・瑛太とはまた違う、静かで内省的な魅力を放つ。時代劇や将棋を愛する一面は、彼の役作りにも深みを与えているに違いない。近年では、2022年公開の『LOVE LIFE』での演技が高く評価され、高崎映画祭で最優秀助演俳優賞を受賞。その表現力は確実に熟成されていた。
しかし、2023年に発覚した大麻所持事件は、彼のキャリアに大きな影を落とした。出演予定だったドラマを降板し、現在は活動を休止している。かつて「嫌なことを忘れてリラックスした」と語ったその言葉の重さを、彼は今、痛感しているだろう。才能に満ちた俳優が、再び光を放つ日は来るのか。ファンは複雑な思いでその行方を見守っている。
出演作品
| 公開・放送開始年 | 作品名 |
|---|---|
| 2023 | クレイジークルーズ |
| 2023 | 東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦- |
| 2023 | #マンホール |
| 2023 | 東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命- |
| 2023 | 大人計画ウーマンリブvol.15「もうがまんできない」 |
| 2023 | 藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ |
| 2023 | リバーサルオーケストラ |
| 2022 | まんぞく まんぞく |
| 2022 | LOVE LIFE |
| 2022 | 峠 最後のサムライ |
| 2022 | ダブル |
| 2022 | 冬薔薇 |
| 2022 | インビジブル |
| 2022 | 桜のような僕の恋人 |
| 2022 | にんげんこわい |
| 2022 | 優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ~ |
| 2022 | 優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ |
| 2021 | 言霊荘 |
| 2021 | 俺の家の話 |
| 2020 | 上意討ち |
| 2020 | リモートドラマ |
| 2020 | トップナイフ -天才脳外科医の条件 |
| 2019 | 黒蜥蜴 〜BLACK LIZARD〜 |
| 2019 | パーティーは終わった |
| 2019 | 疑惑 |
| 2019 | 初めて恋をした日に読む話 |
| 2019 | いだてん〜東京オリムピック噺〜 |
| 2018 | フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話 |
| 2018 | 泣き虫しょったんの奇跡 |
| 2017 | 小ぬか雨 |
ルンバと黒猫人形が語る愛車家の素顔
芸能界随一の愛車家が、掃除ロボットに心を奪われる日が来るとは誰が予想しただろうか。
永山絢斗の自宅には、2台のルンバが稼働している。1台は通常モデル、もう1台は友人・千葉雄大から贈られた水拭き専用機だ。床に物を散らかす癖があった彼が、いつの間にか「ルンバが動きやすいように」と自然に整理整頓するようになったエピソードは、彼の意外な一面を物語っている。贈り主の千葉は「猫と暮らしてみたい」という永山の世間話を覚えていて、黒猫の人形を同梱。「ルンバの上に乗っけて掃除させてくれ」とのメッセージを添えたという。俳優としての鋭い眼光とは裏腹に、こうした日常のほっこりするエピソードが彼の人間味を滲ませる。
そんな彼のキャリアは、輝かしいスタートを切った。2010年、映画『ソフトボーイ』での初主演が評価され、第34回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。しかし授賞式では、父親の急死により途中退席という苦渋の選択を迫られる。栄光と悲劇が交錯した瞬間だった。その後も着実に演技の幅を広げ、2022年には映画『LOVE LIFE』での演技が評価され、第36回高崎映画祭最優秀助演俳優賞を受賞した。
車へのこだわりも並々ならぬものがある。2023年当時の愛車はエメラルドグリーンの「ゴルフII」。彼は「人と被らない車がどうしても欲しかった」と語り、本物志向の一端を覗かせる。また、親友の高良健吾の故郷・熊本を訪れた際は、高良の運転で名所を巡るドライブを楽しむなど、仲間を大切にする一面も持つ。
時代劇や将棋を好み、タルタルソースを苦手とするなど、数々の個性的なエピソードを持つ永山絢斗。そのキャリアと私生活には、常に光と影が寄り添っている。