島田紳助 引退理由

 2011年8月23日、東京都新宿区の吉本興業東京本部で引退記者会見を開き、「暴力団関係者」との交際を理由に芸能界を電撃引退した島田紳助。同日、午後10時にスタートし50分に及んだ会見だが、吉本興業が「島田紳助に関する緊急記者会見開催」をマスコミ陣に伝えたのは午後7時過ぎのこと。

 紳助の会見当日の混乱ぶりについて「当初は彼が引退するという情報は入ってこず『また暴行事件を起こしたのでは』といった憶測が広がっていました」と芸能記者が振り返る。

「引退の7年前となる2004年10月、紳助は『クイズ!紳助くん』の収録で訪れた大阪の朝日放送で勝谷誠彦の女性マネージャーを『先輩芸人を呼び捨てにしていた』という理由で殴り、全治1週間の頸椎捻挫を負わせたとして、謝罪会見に追い込まれている。

そうした“前科”から、私自身も紳助が会見を開くと聞いたとき『今回も身内に対する暴行事件なのではないか』との予感がありました」

 しかし紳助の会見は同記者の予感とはまったく異なる内容となる。よしもとクリエイティブ・エイジェンシーの水谷暢宏社長(当時)が、会見の冒頭「島田紳助につきまして本日限りで芸能活動から引退することになりました」と発表したのだ。

 続けて水谷社長は「島田紳助について2005年6月ごろから2007年6月ごろまで、暴力団関係者との間に“一定の親密さ”をうかがわせる携帯メールのやり取りを行うなどの交流関係を持っていたことが判明した」と公表。2011年8月中旬ごろに吉本の社外から情報提供を受け、紳助に確認したところ事実を認めたと明かした。

 そして紳助本人が「今日をもって芸能界を引退することにしました島田紳助です」と挨拶。暴力団関係者との交際に至ったきっかけとして「十数年前に『解決できないトラブル』が起こった」ことを明かし「そのとき『昔からの友人であるAさん』が『ヤクザ組織のBさん』にその話をして僕の悩みを解決していただきました」と顛末を語ったのである。

 加えて『ヤクザ組織のBさん』との関係性について「会った回数は自分の記憶の中で4~5回」「最後にお会いしたのは4年半前にバーをオープンしたとき」と昵懇ではないことを強調した紳助。

「正直言いまして『悪いことをしている』とか『これはいけないんだ』という意識はなかったです」と振り返り、同年の日本テレビ系「24時間テレビ」が終了した8月21日を指し「日曜の夜までは『この付き合いは芸能界のルールとして問題ない、違反じゃないんだ』という認識でいました」と吐露したのだ。

 そうしたなか、事務所関係者から「それは業界のルールとして違反や。法には触れないけど芸能界のモラルとしてそれはやってはいけないことなんだ」と指摘されたため、そこで初めて『自分の認識の甘さ』を実感したという。

 さらに「僕が何も言わなかったら謹慎処分だったと思います」としながら「謹慎処分では若い後輩たちに示しがつかん」「一番重い処罰が引退だと思いましたので、引退することにしました」と引退の決断について語った紳助。

 こうして超売れっ子として多数のレギュラーを抱えていた紳助は芸能界を去ったのである。

紳助の『解決できないトラブル』は右翼団体絡みのもの

 前出の芸能記者が紳助の電撃引退について解説する。「紳助が会見で『昔からの友人であるAさん』と語ったのは元プロボクサーの渡辺二郎氏のことで『ヤクザ組織のBさん』は山口組系暴力団・極心連合会の橋本弘文会長。そして紳助が引退の10年前に見舞われた『解決できないトラブル』とは右翼団体絡みのものだったんです」

 そのトラブルは1998年に関西テレビ「紳助の人間マンダラ」で放送された「エピソードトーク」が端緒だったという。

「『人間マンダラ』の番組内で紳助が『タクシーで収録現場に向かっている時に、右翼の街宣車が軍歌を流しながら走っていて「何トロトロ走っとんねんボケカス!」と怒鳴ったら“いかついお兄ちゃんたち”がゾロゾロ出てきた』と面白おかしく話したんです。結果、この放送に激怒した右翼団体が関西テレビに抗議の街宣を仕掛けるなどドロ沼のトラブルに発展したんですよ」(同記者)

 もっとも紳助にとって右翼団体とのトラブルは想定外だった。

「当然、紳助自身も『右翼団体をネタにするのはマズイ』との認識だったようで、実はこのトークの収録後に紳助は担当ディレクターに『あの部分はカットしておいて』と伝えたと言われているんです。しかしそれがスタッフの手違いで放送されてしまった。そういう意味では紳助が気の毒でもあるんです」と同記者。

 結果として2011年の引退の火種となった「右翼団体とのドロ沼トラブル」。奇しくも紳助が尊敬してやまない上岡龍太郎と同じ55歳での電撃引退であった。

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