12月27日に「週刊文春」が報じたダウンタウン・松本人志の「性加害疑惑」。同誌では「《呼び出された複数の女性が告発》ダウンタウン・松本人志(60)と恐怖の一夜『俺の子ども産めや!』」と題し、松本から複数の女性が「部屋飲み」で合意のない性的関係を迫られていたとスクープした。
松本サイドは「事実無根」と猛反発したものの、報道の影響により1月8日には「裁判に注力したい」「これまでのようにお笑いに全力を傾けることができなくなってしまう」と吉本興業が松本の芸能活動の休止を発表。同13日には文春の記事で“アテンド役”と報じられたスピードワゴン・小沢一敬も活動自粛を決定した。
活動休止発表後、松本は「事実無根なので闘いまーす。それも含めワイドナショー出まーす。」と自身のXに投稿したものの、同14日のフジテレビ系「ワイドナショー」には出演せず。同局は「フジテレビと吉本興業の双方で協議し、総合的に判断した結果、最終的に松本人志さんのワイドナショーへの出演はなしということになりました」とコメントした。
“松本効果”でウハウハが止まらない「週刊文春」
お笑い界のみならず日本中に激震が広がる松本の性加害疑惑だが、発信源となった「週刊文春」はウハウハが止まらない。同15日に「ダウンタウン・松本人志と恐怖の一夜『俺の子ども産めや!』など、スクープ記事が大反響」とのリリースを出し、「週刊文春」1月4日・11日新年特大号が完売、オンラインで記事が閲覧できる「週刊文春 電子版」の契約者も急伸し、有料会員が2万3000人を突破したと発表した。
このリリースでは「週刊文春」の竹田聖編集長が「今回の完売、本当に嬉しく思います。ご愛読、誠にありがとうございます。紙の雑誌よりもスマホで情報を得るのが益々当たり前となっている昨今ですが、それでも、『スクープの力』は実に大きいのだと改めて実感しています」とコメント。「誰も知らない情報を得て、どこよりも丁寧に裏付け取材をし、相手がどれほど巨大であっても忖度なく読者の皆様にお届けしていく――『週刊文春』が長年培ってきた報道姿勢を、今後も変える必要はないのだと読者の皆様に太鼓判を押していただいた気持ちです」「今後も真摯に、愚直に、新たな『ファクト』の発掘に取り組んでまいります」と綴っている。
30年以上にわたり「笑いのカリスマ」として君臨してきた松本を失墜させた形の竹田編集長。松本の後輩である楽しんごらから批判の声も出ているが、昨年には自らの来歴を語ったインタビュー記事が――
“顔出しNG”の理由は「私が表に立って目立つことが好きじゃない」
2023年11月に、富山県富山市出身に本社を置く北日本新聞社のインタビューを受けている同市出身の竹田編集長。「ネットに張り付いても後追い情報しかない」と題した前編では自身について「顔出しNG」を公言。「そもそも私が表に立って目立つことが好きじゃない」「記者時代は張り込みをしたり尾行したりもすることから、なるべく顔出しをしない、というのが習い性でもありました」と顔出しをしない理由を明かしている。
東京大学出身の竹田編集長は学生時代にアメリカ文学を専攻。ミュージシャンの小沢健二と同じ「柴田元幸ゼミ」にいたという。サッカーファンだったことから、文藝春秋が発行するスポーツ誌「Number」を読んでいて、アメリカ文学の本を作ってみたいとの思いから同社に入社したと語っている。
「Number」編集部を経て「週刊文春」に配属されたという竹田氏。「雑誌の記事一つで世の中や警察が動いたんですよ。僕は下っ端でいただけですけど、自分の仕事で世の中が動く面白さを体感しました」「きついけど、楽しかったですよ」と「NHKの紅白のプロデューサーの不祥事」を扱った経験について振り返っている。
「一人でも多くの方に知ってもらわないといけない」
続く「ジャニーズにも総理にも忖度しない」と題した後編のインタビューで、竹田氏は「これまでの編集者人生で印象的な仕事」についても明かしている。ここで竹田氏が挙げたのが森友学園問題を巡る「財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんの手記」。たまたま「週刊文春」で担当デスクになり、手記を受け取ったという同氏は「すごいものを頂いたと震えました」「書店からもコンビニからも文春が消えた。完売したんです」と当時の反響を回顧。
今回の松本人志報道と同様に、文春が完売した赤木氏の手記を巡り「それでもまだ読みたい」という世間の声を受けて「オンラインで無料公開したんです。僕らにとっては雑誌は売り物。それを無料公開するなんて前代未聞ですよ。でも、この問題は一人でも多くの方に知ってもらわないといけない」と、無料での拡散に至った背景を振り返っている。
日本社会を大きく揺るがしている「週刊文春」の松本報道。激震の根底には竹田聖編集長が信じる「スクープの力」があった。