
世界が注目する国連総会で、ドナルド・トランプ米大統領が思わぬ騒動に見舞われた。9月23日、ニューヨークの国連本部に到着したトランプ氏がメラニア夫人とともにエスカレーターを上っていた際、突然機械が急停止。驚いた一行は足を止め、警備スタッフが慌ただしく動き出した。
「悪いエスカレーターと悪いプロンプターしか与えられなかった」
混乱はそれだけにとどまらない。大統領が壇上に立つと、演説を支えるテレプロンプターが作動しない不具合が発生。トランプ氏は開口一番、「悪いエスカレーターと悪いプロンプターしか与えられなかった」と自ら冗談に変え、即興のスピーチに切り替えた。だがその後も「三重の破壊工作ではないか」と言葉を重ね、会場をざわつかせたのだ。
原因を調べた国連の報告は、これとはまったく異なる結論を示した。施設の安全装置が作動し自動的に停止しただけで、外部からの妨害を示す痕跡は皆無。テレプロンプターの不具合もホワイトハウスの運用上の問題とされ、国連側の設備には異常はなかったという。
カメラマンがエスカレーター上を後ろ向きに移動
もっともこの騒動には、あっけない真相が。監視映像には、トランプ氏の到着シーンを撮影しようと米政府のカメラマンがエスカレーター上を後ろ向きに移動する姿が映っていた。これが安全センサーを作動させ、機械が緊急停止したと見られているのである。
大統領自らが口にした「破壊工作」という言葉は世界を駆け巡ったが、実際には安全装置が働いただけの機械的な停止と、同行スタッフの不用意な動きが重なった結果だった。国際政治の大舞台で起きた一連の騒ぎは、舞台裏の小さなミスが世界規模の話題へと膨らんだ一例として記憶されることになりそうだ。