2018年11月19日、東京地検特捜部により金融商品取引法違反容疑で逮捕された日産自動車元会長のカルロス・ゴーン。2019年3月6日に保釈された後、同4月4日に特別背任の容疑で4度目の逮捕。その後、4月25日に再び保釈され保釈保証金は15億円に上っていた。
「音響機器用の大型ケース」に隠れて国外脱出
保釈されていたゴーンが「世紀の逃亡劇」をみせたのが12月29日。協力者とともに品川駅から新幹線で大阪駅まで移動し、関西国際空港から「音響機器用の大型ケース」に隠れプライベートジェットに搭乗。トルコのイスタンブールを経由しレバノン・ベイルート国際空港に2019年12月31日午前6時半(日本時間)頃に到着したという。
そして2020年1月8日、レバノンのベイルート中心部に近いレバノンプレスクラブで2時間半におよぶ「独演会」ともいうべき会見を行ったのだ。
「会見での腕時計にも『カルロス・ゴーンの思惑』」
「日産と検察の共謀が至るところにある」と主張し、身の潔白と日本の司法の不当性を訴えたゴーンについて「何気なく『身につけていたもの』にも彼の“思惑”が見え隠れしていましたね」と指摘するのは全国紙記者である。
「会見の映像でも一際目立っていたのが『黒い腕時計』。私も同僚と職場で『報道ステーション』(テレビ朝日系)の中継を見ながら『あの時計はどこのだろうな』と話し合っていました」
「ゴーンは7980円の『G-SHOCK』を着用していた」
一連の事件では「私的流用した資金で高級腕時計を購入していた」とも報じられたゴーン。彼は以前からパテックフィリップやオーデマ・ピゲ、バセロン・コンスタンチンなど数千万円を超える超高級時計の愛好家で知られているのだが――
「よく見てみると彼の『黒い腕時計』はカシオの『G-SHOCK』だったんです。後で調べると『DW-5600BBN-1』という型でAmazonでは7980円で売っている廉価なもの。大富豪のゴーンがなぜ7980円の時計を着けているのか、話題となりましたね」と同記者。
「日本向けのイメージアップ」か「日産への当てつけ」か
なぜゴーンはG-SHOCKを着けていたのか。
「日本が世界に誇るメーカーであるカシオの商品を身につけることで、日本の世論向けにイメージアップを図った可能性は大いにあるでしょうね。もうひとつ有力視されているのは『自身を裏切った日産への当てつけ』。日産の内部ではゴーンを巡る一連の事件のことを『ゴーンショック』からもじって『G-SHOCK』と称しているんです。これを知っていたゴーンがわざわざG-SHOCKを着け、日産の関係者を挑発した可能性もあり得ますよ」(同記者)
同会見で「パールハーバー」の一言を口にして日本国内の反発を買っているゴーンだけに、G-SHOCK着用も「日産への当てつけ」かもしれない。
(保木本智)