父親は伝説の左腕・工藤公康。しかし彼は野球を選ばなかった。テニスでプロを目指すほどの実力を持ちながら、肩の故障でその道を閉ざされた男が、今、土と向き合っている。俳優としての顔を持つ工藤阿須加が、なぜ山梨の地で農業を始めたのか。その背景には、アスリート一家に育ったからこその「食」への強いこだわりがあった。
基本プロフィール
| フリガナ | くどう あすか |
|---|---|
| 生年月日 | 1991年8月1日 |
| 出身地 | 埼玉県所沢市 |
| 身長 | 180cm |
| 血液型 | B型 |
| 所属事務所 | パパドゥ |
| ジャンル | 俳優 |
父の背番号47を背負った俳優デビュー
野球界の名門に生まれながら、彼が選んだのはバットでもグローブでもなかった。工藤阿須加は、プロ野球監督・工藤公康の長男として、常に「工藤公康の息子」というレッテルと共に生きてきた。しかし、彼の目は父のいるグラウンドではなく、全く別の舞台を捉えていたのだ。
高校時代までテニスでプロを目指したが、肩の故障でその夢は閉ざされる。進学した東京農業大学では、『奇跡のリンゴ』に触発され、農業への情熱を育んでいた。その一方で、心のどこかでくすぶり続けていた表現への欲求が、ついに役者の道へと彼を突き動かしたのである。
2012年、ドラマ『理想の息子』で俳優デビューを果たす。名門の息子という重圧を背負いながらも、彼は自らの足で道を切り開いていく。そして2014年、父と同じ投手役を演じることになった『ルーズヴェルト・ゲーム』が転機となる。野球未経験ながら、父の背番号「47」を背負った始球式で114km/hを計測したエピソードは、彼の持つ真摯な姿勢と潜在能力を世に知らしめた。
俳優としてのキャリアを積む中で、彼は決して忘れなかった。大学時代に抱いた「土」への想いである。コロナ禍を経て、農業への思いは確信へと変わる。2021年、山梨県北杜市で本格的に農業を開始したのだ。俳優と農家という二つの顔を持つ稀有な存在は、ここからさらにその歩みを加速させていくのである。
ルーズヴェルト・ゲームで確立した実力派の地位
父親は伝説の左腕・工藤公康。だが、彼のブレイクは父の背番号を継いだからではない。2014年、TBS日曜劇場『ルーズヴェルト・ゲーム』で社会人野球部のエース・沖原和也を演じた時だ。野球未経験ながら、オーディションを勝ち抜き、父と同じ投手役を射止める。その熱演が、単なる「二世」の枠を超えた実力派俳優としての地位を確かなものにしたのである。
代表作は、何と言ってもこの『ルーズヴェルト・ゲーム』だろう。企業野球部の苦闘を描いた群像劇で、彼が演じた沖原はチームの希望の星であり、同時に重圧に苛まれる青年でもあった。その繊細な心理描写が、作品に深みを加えた。その後も『ザ・ブラックカンパニー』で初主演を果たし、情報番組『ZIP!』のパーソナリティとして親しみやすい顔も見せる。俳優業と並行して始めた有機農業への取り組みは、単なる趣味の領域を超え、ライフワークとしての深みを増している。潔いまでの自然体が、彼の最大の魅力と言えるだろう。
出演作品
| 公開・放送開始年 | 作品名 |
|---|---|
| 2026 | ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編 |
| 2025 | 劇場版 緊急取調室 THE FINAL |
| 2025 | てっぺんの向こうにあなたがいる |
| 2025 | 良いこと悪いこと |
| 2024 | 無能の鷹 |
| 2024 | ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編― |
| 2024 | ゴールデンカムイ |
| 2023 | 御手洗家、炎上する |
| 2023 | いちげき |
| 2022 | 鵜頭川村事件 |
| 2022 | テッパチ! |
| 2022 | ハケンアニメ! |
| 2022 | 武士とその妻 |
| 2022 | 星から来たあなた |
| 2021 | シノノメ色の週末 |
| 2021 | アイの歌声を聴かせて |
| 2021 | 総理の夫 |
| 2021 | 初情事まであと1時間 |
| 2021 | 春の呪い |
| 2021 | モコミ 〜彼女ちょっとヘンだけど〜 |
| 2020 | あと3回、君に会える |
| 2020 | 連続殺人鬼カエル男 |
| 2020 | 教場 |
| 2019 | 長閑の庭 |
| 2019 | 未解決の女 警視庁文書捜査官~緋色のシグナル~ |
| 2019 | ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~ |
| 2019 | みかづき |
| 2019 | 孤高のメス |
| 2018 | 夕凪の街 桜の国2018 |
| 2018 | 未解決の女 警視庁文書捜査官 |
有機農業に生きる二刀流俳優の真実
野球名門の息子が、土にまみれて野菜を育てる日々。工藤阿須加の人生は、常に思いがけない方向へと転がっていく。
プロ野球界のレジェンド、工藤公康の長男として生まれながら、自身は野球ではなくテニスでプロを目指した。高校時代に肩を痛めてその道を閉ざされ、進学した東京農業大学では「奇跡のリンゴ」に感銘を受け、農業への思いを募らせる。しかし在学中に役者の道へと進み、2012年に俳優デビューを果たした。父と同じ投手役を演じた『ルーズヴェルト・ゲーム』での熱演は記憶に新しい。そして2014年には『1/11 じゅういちぶんのいち』『百瀬、こっちを向いて。』の演技が評価され、日本映画批評家大賞・新人男優賞を受賞する。順風満帆に見えた俳優人生だが、彼の心には常に「土」への憧れがくすぶり続けていた。
コロナ禍がその思いに決断を促した。「いつか」では遅い。2021年、彼は山梨県北杜市の農場の一角を借り、本格的な農業をスタートさせる。無農薬有機栽培にこだわり、年間15品目もの野菜を育て上げる。俳優業と並行する二拠点生活は過酷だが、インスタグラムに投稿される作物の成長記録には、どこか充実感がにじんでいる。名門アスリートの息子でありながら、キャンプやキックボクシングを趣味とし、ゆずの北川悠仁とは高校時代からの親友という一面も持つ。
工藤阿須加は、肩書に収まらない人生を歩み続けている。カメラの前でも土の上でも、彼の等身大の姿がそこにある。