「女優なんて、どうせ続かない」。吉高由里子は、大ヒット作の主演が決まるたび、そう呟いてきたという。原宿でスカウトされても女優に憧れはなく、デビュー作で賞を獲っても、その直後に死を覚悟するほどの大事故に見舞われる。彼女のキャリアは、常に「続けること」への静かなる闘いの軌跡なのだ。

基本プロフィール

フリガナ よしたか ゆりこ
生年月日 1988年7月22日
出身地 東京都
身長 161cm
血液型 O型
所属事務所 アミューズ
ジャンル 女優

生い立ち・デビューまでの経緯

原宿の雑踏で、ただ買い物を楽しんでいた高校一年生の少女は、自分がスカウトされるとは夢にも思わなかった。しかも声をかけてきたのが女性だったからこそ、警戒心も薄れ、連絡先を教えたという。女優への憧れなど、一片もなかった。それが、吉高由里子の芸能界への、ごく自然で偶然に満ちた入口だった。

しかし、その後の歩みは、決して平坦なものではなかった。デビュー作『紀子の食卓』でいきなり高い評価を得た彼女を、すぐに大きな試練が襲う。『蛇にピアス』の主演が決まった直後、交通事故に遭い、顎の骨を折る重傷を負ったのだ。生死の境を彷徨ったこの経験が、彼女の内面を一変させる。「痛い思いをしないと分からない」と後に語るように、あの事故は、とんがっていた自分を見つめ直し、周囲への感謝を知るきっかけとなった。そして、その覚悟が、デビュー初のヌードにも挑んだ『蛇にピアス』の圧倒的な演技力へと結実し、一気にブレイクの階段を駆け上がることになる。

スカウトという偶然から始まり、生死をかけた事故という試練を経て、彼女は本当の意味で「女優」としての血脈を刻み始めたのである。

ブレイクのきっかけ・代表作

あの事故がすべてを変えた。吉高由里子のブレイクは、デビュー作『紀子の食卓』で鮮烈な印象を残した後、まさに頂点を掴もうとした瞬間に訪れた試練と共に始まる。映画『蛇にピアス』の主演が決まった直後、交通事故で顎の骨を折る重傷を負ったのだ。「死も覚悟した」というその経験は、彼女の内面を一変させた。痛みを通じて初めて知った周囲への感謝、そして役者としての覚悟。それらが、デビュー以来初のヌードにも挑んだ同作での、危うくも純粋な演技に結実した。数々の新人賞を受賞したその演技は、単なる若手の台頭を超え、ひとりの「女優」の誕生を告げるものだった。

その後も彼女は型破りな役柄を選び続ける。月9『東京DOGS』のヒロインとしてコメディタッチの軽やかさを見せれば、『横道世之介』では時代を超えて愛される女性の芯の強さを静かに表現した。そして、オーディションなしで抜擢された朝ドラ『花子とアン』では、左利きながら役作りのため食事も右手で箸を持つという並々ならぬ姿勢で主人公を生き抜き、一気に国民的な知名度を獲得する。役ごとに「もう数年後には女優を続けていないのではないか」と深く悩むという彼女の真摯さが、一つ一つの作品に色濃く滲み出ているのだ。

2024年、大河ドラマ『光る君へ』で紫式部を演じる吉高は、撮影の半年前から右手で筆を持つ稽古を重ねたという。原宿でスカウトされた時には女優に憧れもなかった少女が、今や時代をも動かす大役に挑む。その軌跡は、与えられた役柄に全身全霊で向き合い、自らを更新し続ける、ひとりの表現者のひたむきな記録なのである。

出演作品

公開・放送開始年 作品名
2026 黒牢城
2025 吉高由里子 プリンスエドワード島の旅
2025 STAR CHIP GOLF
2024 まひろと彰子 物語が生まれる地へ ~「光る君へ」トークショー[字]
2024 光る君へ
2023 crank-in
2023 星降る夜に
2022 風よ あらしよ
2021 最愛
2020 きみの瞳が問いかけている
2020 危険なビーナス
2020 東京タラレバ娘2020
2020 知らなくていいコト
2019 わたし、定時で帰ります。
2018 検察側の罪人
2018 正義のセ
2017 ユリゴコロ
2017 東京タラレバ娘
2014 花子とアン
2013 真夏の方程式
2013 ガリレオXX 内海薫最後の事件 愚弄ぶ
2013 横道世之介
2012 僕等がいた 後篇
2012 僕等がいた 前篇
2012 ロボジー
2012 ヒミズ
2011 カイジ2 人生奪回ゲーム
2011 私が恋愛できない理由
2011 探偵はBARにいる
2011 GANTZ PERFECT ANSWER

人物エピソード・逸話

原宿で買い物中にスカウトされた時、彼女に女優への憧れは一片もなかった。むしろスカウトしてきたのが女性だったからこそ、警戒心を解いたというのだから、運命とは不思議なものだ。そのままの流れでデビュー作『紀子の食卓』でいきなりヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞するが、彼女の心に大きな転機が訪れたのは、2007年の交通事故だった。『蛇にピアス』の主演が決まった直後、顎の骨を折る重傷を負い、死をも覚悟したというあの体験が、彼女の内面を一変させた。

「あの頃の私は人間的にとんがっていた」。そう語る吉高由里子は、事故を通して初めて周囲への感謝を知り、役者としての覚悟を決めた。その後の『蛇にピアス』での衝撃的な演技は、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の栄誉に輝き、一気にスターダムを駆け上がる原動力となった。

彼女の意外な素顔は、役作りのための並々ならぬ努力に現れている。『花子とアン』では主人公が右利きのため、普段の食事まで右手で箸を持つように矯正。2024年の大河ドラマ『光る君へ』では、平安時代に左利きがいないという理由で、撮影の半年前から右手で筆を持つ特訓を重ねた。生来の左利きにとって、これは想像以上の苦行だったに違いない。

さらに驚くべきは、そろばん指導者の資格を持ち、実際にアルバイトでそろばんを教えていた経験だ。また、詩人の銀色夏生が彼女の小学生時代の振る舞いに一目惚れし、詩集に写真を掲載していたというエピソードも、彼女の持つ独特のオーラを物語っている。

『横道世之介』での毎日映画コンクール女優助演賞、『ガリレオ』での月9ヒロイン、そして紅白歌合戦の司会と、常に新たな挑戦を続ける彼女だが、役が決まるたびに「数年後には女優を続けていないかも」と深く悩むという。その不安定さこそが、彼女の演技に深みを与えているのかもしれない。

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