桑田佳祐が「ユニクロのCM」で使い続けられる理由を広告代理店関係者に聞いてみた

 いまやテレビで見ない日はないサザンオールスターズ・桑田佳祐の楽曲を使ったユニクロのCM。

 綾瀬はるかという「国民的女優」の横に、桑田佳祐という「国民的歌手」を置く盤石の布陣でブランド感を演出しているが、若手アーティストを起用して若年層を取り込むのがアパレルCMの定石だった。はたして、なぜここまでユニクロは桑田にこだわるのか。

最大の理由は『ターゲット層の明確化』

 大手広告代理店関係者が語る。
「大前提として、桑田の楽曲が持つ普遍的なパワーが絶大ということがあるのですが、最大の理由は『ターゲット層の明確化』。現在のユニクロが最も売りたい高単価な機能性アウターやジーンズを、躊躇なく定価で買ってくれるのは、実は若者ではなく50代以上の富裕層や団塊ジュニア世代。彼らにとってサザンや桑田は、まさに青春の象徴であり、絶対的な“神”なんです。若者に人気のK-POPアイドルなどを使うよりも、桑田を流したほうが実際の売り上げに直結するという見込みですよ」

 2021年から始まったこのコラボだが、当初はソロ楽曲の提供が主だった。それが本人出演、さらにはサザン全員の出演へと展開している背景には、ユニクロ側の“脱・ファストファッション”への野望も見え隠れするという。

「ユニクロ=日本のスタンダード」のブランドイメージ

 同関係者が続ける。

「ユニクロはもはや『安かろう悪かろう』の店ではなく、『LifeWear』という生活インフラになろうとしている。流行り廃りの激しい若手タレントではなく、時代を超えて愛される桑田佳祐と組むことで、『ユニクロ=日本のスタンダード』というブランドイメージを定着させたい狙いがある。桑田サイドにとっても、新曲のプロモーションとしてこれ以上の媒体はない。まさにウィンウィンの関係ですが、契約金は破格中の破格。一説には数億円規模とも囁かれていますが、同社にすれば『安い買い物』なのでしょう」

 露出過多にSNS上では「食傷気味」との指摘も散見されるが、それも織り込み済みだという。

「ユニクロのCMは、季節ごとに凄まじい頻度で流れるため、楽曲が耳にこびりついて離れないという視聴者も少なくない。一部からは『また桑田か』という声も聞かれますが、それでも店に行けば、桑田世代がカゴいっぱいに服を詰め込んでいるのが現実。批判をねじ伏せるだけの実績が出ている以上、この“国民的蜜月”は当分終わらないでしょう」(同関係者)

 今日も桑田のCMソングがテレビから流れ続けている。

(松尾晶)

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