2月21日に北海道で発生した地震についての元首相・鳩山由紀夫氏のツイートが波紋を広げている。鳩山氏は同日「先ほど北海道厚真町の地震は苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものではないかと書いたばかりの本日、再び厚真町を震源とする震度6の地震が起きてしまった」と投稿。
被災者を気遣う言葉を続けた後「本来地震に殆ど見舞われなかった地域だけに、CCSによる人災と呼ばざるを得ない」と今回の地震を“人災認定”した。
一方で、この発言を受け「震災デマ」に注意を呼びかけている北海道警が鳩山氏のツイートを「流言飛語」と認定。すぐさま鳩山氏は「道警は科学的データも調べないで厚真町地震と苫小牧のCCS実験は無関係でデマと認定した」とツイッターで反論。
さらに鳩山氏は「国会論戦で中越地震・中越沖地震はCCSによって引き起こされた可能性があるとされ、長岡のCCSは中止となったのであろう。更に北大の研究者が地震誘発の可能性があると論文を書いている。道警は命を守ってほしい」と北海道警への批判を繰り広げた。
今回の投稿により、ツイッター上では鳩山氏のアカウントに批判が殺到。一部では擁護する声もあるものの大多数が鳩山氏を非難する投稿となっている。
一体、鳩山氏が展開した「CCS実験による人災」説はどれだけ根拠があるものなのか?「どう解釈しても陰謀論としか言いようがありません」と語るのは地震のメカニズムに詳しい科学ライターだ。
「鳩山氏が指摘した『CCS実験による地震の誘発』は以前から可能性が論じられているものですが、『人災』とまで断定する根拠はどこにもない。何よりも、この地域でCCS実験を行う当事者である日本CCS調査株式会社が昨年9月に『「平成30年 北海道胆振東部地震」について』と題した声明を発表し、『実際の二酸化炭素が圧入された地層と地震の震源が位置する地層とは連続性がなく、二酸化炭素の圧入による影響が本地震の震源まで及んだとは考えられません』として地震への影響を完全否定している。鳩山氏の発言は完全に陰謀論です」
波紋を呼ぶ鳩山氏の「人災認定」。良心からの発言であることは疑いないのだが――
(川本みゆき)