大阪府守口市内の「くら寿司」の店舗内厨房で男性アルバイト2人が“不適切動画”を撮影した上、SNS上に投稿したとして大問題となっている。動画の存在が浮き彫りとなったのは2月6日。動画には「くら寿司守口店」の従業員が切った魚をごみ箱に捨てた後、再度取り出してまな板に起く様子が収められていた。
騒動を受け、同社は同日、公式サイトに「当社従業員による不適切な行為とお詫びについて」と題した謝罪文を掲載。「類似の事故が様々なチェーン店で多発しており、当社も日頃からその対応を懸命に行っておりましたが、力およばず同種の事件が起きてしまいました。本当に申し訳ございません」と陳謝した。
さらに同8日には「くら寿司守口店における不適切行動をとった従業員2名について」との文章を公開し、動画に関わったアルバイトを解雇するとともに「刑事、民事での法的処置の準備に入った」と報告。
同社は法的処置に至った背景として「このような状況の中で、ご来店いただき温かいお言葉をかけてくださるお客様、株主様、お取引先様に対し上場企業としての責任を果たし、全国で共に働く約33000人の従業員の信用回復の為」「多発する飲食店での不適切行動とその様子を撮影したSNSの投稿に対し、当社が一石を投じ、全国で起こる同様の事件の再発防止につなげ、抑止力とする為」と2点の理由を挙げている。
今回、同社が行った“事後対応”について「今後、企業が不適切動画で炎上した際のお手本となる『パーフェクトな対応』ですね」と指摘するのはビジネス業界に詳しいジャーナリストだ。
「第一に、今回の騒動において動画がネット上で話題になった直後に声明を発表していて対応が物凄く早かった。二つ目に、謝罪文の内容が正直で言い訳がましさが一切なかった点も素晴らしい。そして何より見事だったのは、日本全体で多発しているアルバイトの「不適切動画投稿問題」そのものに企業として率先して取り組む姿勢を見せたこと。企業イメージの低下を最小限に食い止めるばかりか、毅然とした対応に好感を持った消費者も多いと思いますよ」
くら寿司の毅然とした“事後対応”。今後、チェーン系飲食店で問題が発生した際のスタンダードな対応となりそうだ。
(中村未央)