全日本学生将棋連盟が主催する「学生名人戦」で前代未聞の事件が発生。大騒動となっている。6月4日に実施された同大会の決勝で勝利した男子大学生が、最善手を提示するAI将棋ソフトを使用していたことが発覚し失格に。決勝で破れた出場者が繰り上げで優勝となったのだ。
参加者から「調査してほしい」との申し出
対局中に不自然な離席が多かったことから、別の参加者から「調査してほしい」との申し出があり、スマートフォンを使ってのAI将棋ソフトの使用が判明したという今回の問題。
大手紙の観戦記者は「いずれ起こりうる問題だった」と指摘する。「将棋界では2016年に三浦弘行九段の『将棋ソフト不正使用疑惑』が取り沙汰され、後に潔白だと証明される騒動があった。現在は当時よりスマホの将棋アプリの性能が格段に上がっていて、ソフトを悪用されリスクが高まっていました」
今回、大学生棋士が手を染めてしまったソフトによる不正。当事者の「デジタルタトゥー」も危惧されている。
「彼の本名がネット上に拡散していることは非常に由々しき事態」
「絶対にやってはいけない不正行為であることは間違いありませんが、彼の本名がネット上に拡散していることは非常に由々しき事態。あくまでも将棋という競技でのルール違反であって刑事罰に問われる行為ではない。決してデジタルタトゥーを背負わせるべきではありません」(同記者)
将棋界が恐れていたことがついに起こってしまった。
(大倉さとみ)