“ミソラ”に非難殺到「紅白歌合戦の放送事故ハプニング」

 令和を迎えて初となる「第70回NHK紅白歌合戦」。今回の総合司会は3年連続となるウッチャンナンチャン・内村光良と同局の和久田麻由子アナ。紅組の司会は4年ぶり3回目の綾瀬はるかが努め、白組司会は昨年に続き2回目となる嵐の櫻井翔だ。

 また「夢を歌おう」特別企画としてビートたけしが歌手として登場し、昨年に続き出演する武田真治は五木ひろしの「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」でサックスプレイを披露。

 さらに人気ピアニストの清塚信也が島津亜矢の「糸」でピアノ演奏を披露するほか、桑田真澄の次男として知られ2019年に一躍ブレイクしたmattも天童よしみの「大阪恋時雨」でピアノを担当するなど異色の顔ぶれの出演が公表されている。

「史上最大のハプニングは『ミソラ事件』」

 例年、紅白が近づくに連れ思い出されるのが過去の「ハプニング」や「放送事故」。紅白を知り尽くした業界関係者が歴代69回のレベルのトラブルを振り返る。

「紅白史上最大のハプニングを選ぶなら1984年(第35回)の『ミソラ事件』しかないでしょう」と語るのは週刊誌のベテラン記者だ。

 同年の紅白を最後の舞台として「普通のおばさんになりたい」と引退を表明していた都はるみが歌唱した際に発生した「ミソラ事件」。

 都が当初予定していた「夫婦坂」を歌い終えると会場のNHKホールでは観客からアンコールの大合唱。白組司会を務めていた鈴木健二アナが「私に1分間時間をください! いま交渉してみます」と芸能史に残るアナウンスを行った後「紅白史上初のアンコール」が披露されたのだ。

NHKに数千件の苦情電話が寄せられた

 こうして都は代表曲である「好きになった人」を熱唱したのだが――

「この年、総合司会を担当していた生方恵一アナが『もっともっと沢山の拍手をミソラ、ミヤコさんにお送りしたいところですが、何ぶん限られた時間です』と美空ひばりの名前を言いかけてしまったのです。この失言に世間は騒然。ネットがない時代でしたが『NHKに数千件の苦情電話が寄せられた』と語り継がれている。事件から25年後、生方アナは『消しゴムが効かない怖さがある』と当時を振り返っています」

 ハプニングを起こした回数ならサザンオールスターズの桑田佳祐が最多に違いない。

桑田佳祐の「受信料発言」「ちょび髭」「ユーミンからキス」

「1982年(第33回)の紅白で桑田は悪ふざけを連発しました。この年の桑田は『白塗りに和服姿』という『三波春夫をイメージした衣装』で登場し、歌唱した『チャコの海岸物語』も“演歌調”。間奏では『とにかく受信料は払いましょう』『裏番組はビデオで観ましょう』と呼びかけるなどとんでもないステージでした。桑田に激怒したNHKが『詫び状』の提出を呼びかけたとの報道もなされましたね」(前出の記者)

 次に桑田がハプニングを起こしたのは2014年第65回の紅白。同記者が続ける。

「この年のサザンはサプライズ出演。横浜アリーナで行われていた年越しライブ会場から中継で登場したのですが『チョビ髭』をつけていたため『ヒトラーになぞらえ安倍晋三首相を揶揄しているのではないか』と指摘が相次ぎました。さらに桑田は年越しライブのなかで、同年11月に授与された紫綬褒章を尻ポケットから取り出し『5000円からいきましょう』とオークションの真似もしていて『不敬パフォーマンス』が大炎上を招きました」


「さらに桑田は2018年の『第69回NHK紅白歌合戦』でユーミンこと松任谷由実と『奇跡の共演』を果たした上、ユーミンから頬にキスをされるという珍事もあった。桑田ほど良くも悪くも紅白で話題を振りまいた人物はいませんよ」
と同記者。

 桑田と「犬猿の仲」と言われる長渕剛も紅白で「放送事故レベルのハプニング」を起こしている。

「長渕のハプニングは1990年の第41回NHK紅白歌合戦。この年は東西ドイツが統一されたこともあり、ドイツのベルリンから海外中継で長渕がパフォーマンスを披露したのですが、まさにやりたい放題。『現場仕切ってるのみんなドイツ人でしてね。ともに闘ってくれる日本人なんてひとりもいませんよ。恥ずかしい話ですけど、いまの日本人タコばっかりですわ』とNHKスタッフを批判したと思えば、予定にない曲まで勝手に歌う始末。10分の出演予定から大幅にオーバーする17分以上も歌い続けました。長渕の狼藉の背景には過去に大暴走を繰り広げた桑田佳祐へのライバル意識があったとも言われています」
(テレビ関係者)

 何が起こるか分からない緊張感が魅力の紅白。今回「ミソラ事件」を上回るハプニングが起こるかもしれない。

(大倉さとみ)

 

まだある紅白歌合戦でのハプニング

・松島詩子「スタジオに向かう途中に交通事故」(1952年/第2回)
「出場を予定していた松島詩子がNHK東京放送会館第1スタジオに向かう途中、乗っていた車が都電と衝突。重症を負ったため越路吹雪が代役となった」

・吉川晃司がギターを燃やし「紅白を出禁」に(1985年/第36回)
「トップバッターの吉川晃司がステージで口からシャンパンを吹いた上、ギターに火を付けるなど過激パフォーマンスを連発。床が濡れた床のせいでシブがき隊の布川敏和が転倒してしまった。この騒動で吉川は『紅白を出禁』に」

・加山雄三の「仮面ライダー発言」(1986年/第37回)
「白組司会を努めた加山雄三が少年隊を紹介する際、本来の曲名である『仮面舞踏会』を『少年隊の「仮面ライダー」です!』と間違えてしまった。リハーサル時から加山は『仮面ライダーと間違えそうだ』と漏らしていたという」

・本木雅弘「避妊具ネックレス」騒動(1992年/第43回)
「この年に『東へ西へ』を歌った本木雅弘が『液体の入った9つの避妊具』を首からさげて登場した。歌唱終了後、避妊具を爆発させて液体まみれになった。本人は『エイズ撲滅の意味合いをこめた』 と明かしたがNHKに抗議が殺到した」

・DJOZMA「裸体風ボディスーツ」事件(2006年/第57回)
「DJOZMAが『アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士』を披露した際、女性バックダンサーが『脱ぎパフォーマンス』を敢行。あくまでも『裸体風ボディスーツ』だったのだが、見分けにくいものだったため視聴者から抗議が殺到。放送中に総合司会の三宅民夫アナが『裸ではありません』と弁明した」

・小林幸子「発光ダイオードが光らず」(1992年/第43回)
「この年、小林幸子の衣装は62000個もの発光ダイオードを使った『人間ぼたる』を予定。本番では2万個しか光らなかったため演出は失敗。ステージ後に小林が号泣する事態となった」

・森進一「チャック全開」で「襟裳岬」熱唱(1974年/第25回)
「初の大トリを務めた森進一が『襟裳岬』を熱唱中に『チャックが全開』となっていたため会場が騒然となる。1コーラス目の終了後、村田英雄や北島三郎らが森を取り囲み『チャック開いてるぞ』と耳打ち」

Googleニュースで配信中
GEINOUはGoogleニュースに記事を配信しています。フォローしていただくと、ブラウザ版、アプリ版のGoogleニュースから記事がご覧いただけます。