昨年12月から中国で感染が拡大している「新型コロナウイルス」による肺炎。1月26日現在、中国での患者数は1975人。56人の死亡、324人の重症が確認されているという。
武漢の帰国希望者にチャーター機を派遣
日本国内でも22日に中国湖北省・武漢から旅行で日本を訪れた40代の男性が新型コロナウイルスに感染していることが判明。こうした状況を受けて安倍晋三総理は26日、武漢在住の日本人を対象に「中国政府との調整が整い次第、チャーター機などあらゆる手段を追求して希望者全員を帰国させる」と会見で明かした。
猛スピードで拡大を続け収束の見込みがつかない新型肺炎について大手新聞社の記者が解説する。
「本当は10倍ぐらい感染していてもおかしくない」
「中国の習近平国家主席は『全力で感染拡大を防ぐ』と言っているものの、今の段階で中国政府が発表している患者数自体、どこまで本当なのか分からないのが実情です。テレビや新聞で報じられることはありませんが、マスコミ関係者の間では『本当は10倍ぐらい感染していてもおかしくない』との見る向きは強い。今後、世界中で新型肺炎が爆発的に蔓延する可能性を警戒しておくべきですよ」
「新型肺炎の拡大で「東京オリンピック中止」も現実味」
そんななか、日本にとって大きな懸念材料となるのが半年後に迫った「東京オリンピック」だ。新型コロナウイルスの影響で、2月から武漢で開催が予定されていたボクシングの予選は3月にヨルダンのアンマンで行われることがIOCから発表されている。
「このまま新型肺炎の拡大が続けば『東京オリンピック中止論』が日本国内で高まるのは間違いありません」と同記者。「オリンピックとパラリンピック合計で約1000万人の外国人が来日すると見られていますが、仮にいまよりも状況が悪化していれば『コロナウイルス感染』の恐怖で日本中がパニックになるのは想像に難くない。国内世論の大半は『オリンピックよりも自分の健康が大事』となるはずです」
「遅くても『2020年5月』が“タイムリミット”」
さらに同記者は「いずれにしてもオリンピック直前まで悠長に『開催できるか否か』を考えているわけにはいけない。コロナウイルスの状況と国内世論から判断して、ある程度早い段階で東京都、組織委員会、日本政府は決断を下さなければなりません」と指摘する。
「“タイムリミット”となるのは、遅くても『2020年5月』。この時期、相変わらず新型肺炎が猛威を振るっていれば政権によって『オリンピック中止』の苦渋の決断が下されるでしょう」(同記者)
「東京オリンピック中止」の可能性もあるコロナウイルスの蔓延。タイムリミットの5月は間近に迫っている。
(島田徹)