お笑いコンビ・令和ロマンの高比良くるまが、映画監督としても強烈な第一歩を踏み出した。
令和ロマンが5月16日にKアリーナ横浜で開いた大型単独ライブ「RE:IWAROMAN」。その場で観客の前に差し出されたのが、高比良が「くるま」名義で監督・脚本を担当した短編映画『BREAK SHOT』だった。出発点はライブ用の映像企画だったが、主演格にはサルゴリラ・児玉智洋を起用。さらに森川葵、前田旺志郎、高良健吾、オダギリジョーといった俳優陣も加わり、座組だけを見ても単なる幕間映像とは思えない本気度が漂っている。
単独ライブから生まれた本格短編『BREAK SHOT』
同作は、高速道路を走る複数の車を舞台にしたブラックコメディ。カメラをドライブレコーダーの視点に固定し、それぞれの車内で交わされる会話のズレや気まずさを積み重ねていく構成だ。単独ライブでの上映だけで終わらず、特別上映イベントや短編映画祭での展開も予定されており、芸人の余技とは言い切れない広がりを見せている。
ポスト北野武を予感させる映像センス
この挑戦について、芸能関係者は「ポスト北野武を予感させる部分がある」と語る。
「北野武さんも、漫才やバラエティで培った“間”や暴力性、照れを映画に持ち込み、唯一無二の作家になった。くるまの場合も、漫才の構成力や会話のズレを映像に置き換える感覚がある。車内という狭い空間に人物を閉じ込め、言葉の応酬で見せる発想は、かなり漫才師らしい。タレントが名前だけ貸した映画ではなく、企画の芯に本人の頭の良さが出ています」
もちろん、初監督作の段階で北野武と同列に語るのは早計だろう。だが、くるまはM-1グランプリを連覇した漫才師でありながら、ラジオ、YouTube、ライブ演出、俳優業と活動領域を広げてきた。今回の映画制作も、単なる話題作りではなく、自身の得意分野である「会話の違和感」を別の器に流し込む試みに見える。
前出の芸能関係者が続ける。
「芸人が映画を撮る場合、どうしても“芸人仲間を集めた内輪ノリ”になりがちです。しかし『BREAK SHOT』はオダギリジョーさんや高良健吾さんのような俳優を巻き込みながら、中心には芸人の発想がある。笑いを取りに行くというより、人間の気まずさを観察するタイプのコメディで、そこに映画監督としての伸びしろを感じます。長編を撮ったときに、どこまで自分の世界を貫けるかが見ものです」(同関係者)
漫才師として頂点を極めた高比良くるまが、映画でも観客をざわつかせる存在になるのか。初監督作『BREAK SHOT』は、その問いを投げかける一作となりそうだ。