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高橋名人「逮捕説」はデマだった! 実現しなかった「一日署長」の話が全国へ広がったワケ

ファミコン少年たちを驚かせた高橋名人の逮捕説。本人が説明してきた発端は、犯罪とは無関係な予定だった。

高橋名人
高橋名人(画像はビー・セブン公式サイトより)
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 高橋名人が逮捕されたらしい。ファミコンブームの頃、そんな話を友達から聞いたという人はいるだろう。まず結論から言えば、これはデマだ。16連射で人気を集めた名人の実像ではなく、子供たちの間を駆け巡った誤情報だった。

 では、何もないところから、なぜ警察の話が出てきたのか。本人は長年、犯罪とは無関係な予定が取り違えられたのではないかと説明している。発端として挙げているのは、一日警察署長の依頼だった。

高橋名人が明かした「警察へ行く予定」の取り違え

 名人は2018年の公式ブログで、86年に一日警察署長の話があったと振り返っている。ところが、結局は日程が合わず、その仕事は実現しなかった。犯罪の容疑をかけられたどころか、警察の広報役として招かれる予定だったのである。

 一方、依頼を受けた段階では、イベントなどで警察へ行く予定に触れていたという。その話が伝わる過程で、警察に行くことと、警察に捕まることが入れ替わってしまったのではないか。本人が示したのは、そんな見立てだった。

 もちろん、最初に誰がどの言葉を言い間違えたかまで、第三者が記録して確認したという話ではない。本人が把握している当時の事情から、誤解の起点を説明したものだ。デマであることと、広がり始めた瞬間まで完全に再現できることは、別なのである。

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ネットのない時代に「知っている話」になった逮捕説

 それでも、本人が驚いたのは話の速さだった。公式ブログでは、短期間で各地に広がり、その後も長く質問されることになったと振り返っている。スマートフォンもSNSもない時代に、子供同士の会話が同じ噂を遠くまで運んでいた。

 21年にTOKYO FMが配信した麒麟・川島明との対談記事でも、この話題が出ている。川島の側にも子供時代の記憶があり、名人は当時の騒ぎを説明した。本人にとっては身に覚えのない迷惑な話でも、聞いた子供には強い驚きとして残っていたのである。

 情報の出どころを確かめにくい一方で、友達も知っているという感覚は広がる。同じ話を何人からも聞けば、本当らしく思えてしまう。しかし、全員が別々の根拠を持っていたのではなく、同じ誤情報を受け渡していただけということもある。

 名人は24年の公式ブログでも、連射にまつわる質問に答える中で、再びこのデマに触れている。一度否定すれば完全に消えるわけではなく、懐かしい話として持ち出されるたび、事実関係を説明し直すことになるのだ。

 ゲームを披露するたびに歓声を浴びた名人が、舞台の外では自分にまつわるデマの説明を続ける。その落差も、当時の人気の大きさを物語る。本人の知らないところで話が育ち、否定する言葉より長く残ってしまったのだった。

 高橋名人は、その件で逮捕されていない。予定されていた一日署長さえ実現していなかった。多くの人が覚えている話であることは、本当だった証拠にはならないのである。

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