『ゼルダの伝説 夢をみる島』は『ツイン・ピークス』から影響を受けていた 開発者が語った島づくりの発想
『夢をみる島』の登場人物づくりには、米ドラマ『ツイン・ピークス』から得た発想が生かされていた。任天堂の公式対談では、小さな世界を深く描く狙いと、正式な企画になる前の開発経緯が語られている。

任天堂の『ゼルダの伝説 夢をみる島』には、米ドラマ『ツイン・ピークス』から受けた影響があった。開発者の手塚卓志が任天堂の公式対談で明かしたのは、小さな舞台と限られた登場人物を、深く描こうとする発想だ。
1993年6月にゲームボーイ用ソフトとして登場した『夢をみる島』は、旅の途中で遭難したリンクが、コホリント島に漂着するところから始まる。舞台はおなじみのハイラルを離れた島。リンクを助ける少女マリンや、その父タリンらとの出会いが待っている。
『ツイン・ピークス』から受けたのは、小さな世界を深く描く発想
2009年の「社長が訊く『ゼルダの伝説 大地の汽笛』」で、携帯機向けシリーズの歴史を振り返った手塚卓志は、『夢をみる島』の制作時に『ツイン・ピークス』をイメージしていたと語っている。
当時流行していたドラマを見て、手塚が注目したのは、町も登場人物も限られているのに、個々の人物や出来事には奥行きがあることだった。遊ぶ側が世界の全体像をつかみやすく、それでいて一つ一つの中身は濃い。そんなゲームを目指していたという。
この説明を聞いた青沼英二は、当時は手塚の意図がよく分からなかったと振り返っている。対談では、攻略本に載った田邊賢輔のコメントも紹介された。手塚からは、ドラマを参考に、怪しい人物ばかりにしてほしいと注文されたという。
手塚の説明で中心になっているのは、小さな舞台で住人たちの個性をどう際立たせるかという考え方だ。世界を広げるだけでなく、そこにいる一人一人を印象深く描く。その発想が、コホリント島の人物づくりに生かされていた。
『夢をみる島』は、正式な企画になる前の実験から始まった
この作品は、開発の始まり方も独特だった。同じ対談によると、当初はゲームボーイ版『ゼルダ』を作る正式な計画があったわけではない。SRDのプログラマー、森田和明が、当時同社に1台だけあったゲームボーイ用の開発ツールで、『ゼルダ』のようなゲームを試作したのが出発点だった。
本来の業務を終えてから取り組む実験を、参加者たちはクラブ活動にたとえている。モノクロでも思いのほか多彩な表現ができると分かり、手塚は本格的に開発したいと申し出た。その際に追加された開発ツールは、もう1台だったという。
携帯ゲーム機でどんなことができるかを試す楽しさと、限られた舞台に個性の強い人物を集める狙い。『夢をみる島』は、そんな試行錯誤のなかで形になっていった。
コホリント島の一風変わった住人たちには、当時の人気ドラマから得た発想も息づいていた。



