仮面ライダーの変身ポーズは最初からあった? 1号から2号へ変わった変身の見せ方
掛け声とともに腕を動かす仮面ライダーの変身。1971年の放送開始時から、おなじみのポーズがあったわけではない。初期1号の設定と、2号を演じた佐々木剛の回想には、見せ方が変わる過程が残っている。

仮面ライダーといえば、掛け声とともに腕を動かす変身ポーズ。だが、1971年に始まった最初の『仮面ライダー』では、放送当初からその形が定番だったわけではない。おなじみの見せ場が登場したのは、第14話で一文字隼人が仮面ライダー2号に変身する場面だった。
藤岡弘、が演じる本郷猛は、初期には愛車サイクロン号を走らせ、風圧でベルトの風車を回して変身していた。東映の作品設定では、爆風や落下時の風圧も利用できる。バイクでしか変身できないというより、風を受けることが力を引き出す仕組みだった。
藤岡弘、の負傷で登場した2号
変化の背景には、藤岡が撮影中のバイク事故で負傷し、出演を続けられなくなった事情がある。物語では本郷がヨーロッパへ向かい、日本での戦いを一文字隼人に託す展開になった。その新しい主人公を演じたのが、藤岡と劇団の養成所で同期だった佐々木剛だ。
佐々木は2016年のインタビューで、当初は仕事の予定が詰まっていて出演を断ったと振り返っている。それでも撮影が急がれる中、藤岡が戻るまでという条件で引き受けた。同期が得た初主演の役を代わりに務めることには、心苦しさもあったという。
藤岡は2017年のコラムで、佐々木が二輪免許を持っていなかったことを、変身ポーズが生まれた背景として挙げている。バイクを走らせる場面から、その場で体を動かして変身する場面へ。主演俳優の交代は、ヒーローが姿を変える時の演出にもつながった。
最初のポーズは本人も手順を間違えた
佐々木によれば、ポーズを考えたのは殺陣師だった。ただ、最初の撮影では、先にジャケットを開けてベルトを見せる手順を忘れてしまったという。動きに入ってから気付き、途中でベルトを見せ、もう一度ポーズを続けた。そのまま撮影が終わり、二段階の動きになったと笑って回想している。
この変身ポーズは子どもたちにも広がった。東映の作品ガイドでも、両腕を大きく動かす仕草と掛け声の流行が紹介されている。後にパワーアップした1号もポーズによる変身を見せるようになり、1号と2号の両方におなじみの姿がそろった。
最初の1号が風を受けて変身する場面と、2号がポーズを決める場面。同じ第1作の中でも、変身の見せ方は途中で変わっていた。子どもたちがまねた定番の動きも、番組が続く中で生まれたものだった。
