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ニューオールドメディア

『毛糸のカービィ』は別の主人公から始まった 開発途中でカービィを迎えた理由

『毛糸のカービィ』には、『毛糸のフラッフ』と呼ばれた開発時期があった。毛糸の世界を先につくっていたスタッフが、2009年夏ごろの提案を受けてカービィを迎えるまで。

縦置きスタンドに載せた白いWii本体と、ストラップ付きのWiiリモコン
出典:Wikimedia Commons/Wii-console 撮影:Evan-Amos パブリックドメイン(縮小表示・左右に余白)。『毛糸のカービィ』の対応機種Wiiの参考写真
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 毛糸の線でできたカービィが、布の世界を進む『毛糸のカービィ』。この企画は、最初からカービィを主人公にしていたわけではなかった。開発中には『毛糸のフラッフ』と呼ばれ、独自のキャラクターで新しい遊びを目指していた時期がある。先にあったのは、毛糸を使う世界と仕掛けだった。

 任天堂公式の開発者インタビューで経緯を説明したのは、制作会社グッド・フィールのスタッフらだ。同社のプロデューサー、蛭子悦延によると、毛糸を題材にした企画が通り、約3カ月かけてつくった試作までは順調だった。ところが、ゲーム全体を組み立てる段階で壁にぶつかった。

新しい見た目だけでは遊びが続かなかった

 毛糸のキャラクターが動き、布の仕掛けが変わる様子には魅力があった。一方、アクションゲームとして遊ぶと、敵や仕掛けを乗り越える手応えが足りない。かといって、難しくしようとトゲなどを増やすと、柔らかな世界で楽しみたいという期待から離れてしまった。対談では、そうした試行錯誤が語られている。

 そこで2009年夏ごろ、任天堂側からカービィを採用する案が出された。蛭子は、独自のキャラクターを世に出す喜びもあったため、最初は複雑な気持ちだったと明かしている。ただ、実際にカービィを毛糸で表してみると、見慣れた姿が新しく見えることに強い手応えを感じたという。

世界の雰囲気と遊び方を合わせる

 任天堂側には、すでにあるカービィの世界を取り入れることで、制作の方向を定めやすくなるという考えがあった。毛糸との相性もよいと見ていた。一方で、独自の作品をつくろうとしていたスタッフの気持ちへの配慮もあったと、対談で説明されている。

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 カービィを迎えても、調整は続いた。次の大きな議論は、失敗したときにプレイヤーをどう扱うかだった。敵に触れたり穴に落ちたりするとやり直しになる仕組みを、毛糸の穏やかな雰囲気に合わせて見直した。その過程では、ゲームオーバーがなくなると緊張感まで失われないか、という懸念もあった。

 そこで完成した遊びでは、ゴールを目指すことに加え、ビーズを集める楽しみを用意した。敵に当たると集めたビーズを落としてしまうため、上手に進む手応えも残る。元の企画で生まれたフラッフも、完成版に登場している。主人公の変更とともに、毛糸の世界をどう楽しませるかも練り直されていた。

 カービィの名前が加わったあとも、毛糸の世界に合う遊びを探す作業は続いていた。

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