『ファイナルファンタジー』は略称が先だった FFと呼んでほしかった命名の経緯
『ファイナルファンタジー』の名前には、FFと略して呼んでほしいという考えがあった。河津秋敏と坂口博信の説明から、言葉の意味と命名の条件を分けて見ていく。

『ファイナルファンタジー』という名前から、最後の作品にする覚悟が込められていると想像する人もいるだろう。ただ、開発者の説明を読むと、命名にはもう一つ、具体的な条件があった。略したときに同じアルファベットが二つ並び、エフエフと呼べること。作品名より先に、短く呼ばれたときの形を考えていたのだ。
第1作が発売されたのは1987年12月18日。初代の開発に参加した河津秋敏は、任天堂公式のインタビューで、レースゲーム『ハイウェイスター』の仕事を手伝った後、坂口博信からRPG制作に誘われたと振り返っている。その河津が語ったのが、タイトル決定のいきさつだった。
ファンタジーに合わせてFの言葉を探した
河津によれば、当初から、同じ頭文字が重なる名前がよいという方針があった。例に挙げているのは『ディープダンジョン』を略したDD。さらに、作品名にはファンタジーという言葉を入れたい。それに合わせるには、もう一方もFで始まる単語を選ぶ必要があった。
こうして候補が絞られ、ファイナルという言葉が選ばれたという。河津が決定を知ったのは、坂口からタイトルが決まったと告げられたときだった。壮大な物語の結末から名前を導き出したという説明ではなく、まず略称の形を整える発想があったことがわかる。
切迫した状況と単語を選んだ理由
坂口も2015年、立命館大学での講演で、アルファベットで表せて、エフエフと4音で読める略称を前提にしたと説明している。当初はファイティングファンタジーを考えたものの、同名の作品があったため変更したという。ファイナルだけが最初から決まっていたわけではなかった。
その講演で坂口は、制作当時に追い込まれた状況だったこと自体は認めている。一方、名前については、Fで始まる言葉であればよかったという趣旨を語った。当時の覚悟と、実際にどの単語を選んだかは、分けて受け止める必要がある。
もっとも、作り手の希望どおりの呼び方がすぐ広まったわけでもない。河津は、小学生たちがファイファンと呼び、親戚の子も同じ略し方をしていたと明かしている。FFと呼んでほしい作り手と、口にしやすい言葉で略す子どもたち。その間には、ちょっとしたずれもあった。
長い冒険の名前は、短い二文字から考えられていた。